【正論】Xで広がる『独身税』待望論 既婚女性ら中心に加熱「弱男が貯めこんでる金を子育てに使おう」

11/24(月) 10:30配信
少子化対策の財源不足が叫ばれる中、X（旧Twitter）では、子育て世帯の女性や一部のフェミニスト層を中心に、独身男性の資産に対する課税強化を求める声が高まり、連日トレンド入りする事態となっている。なぜ今、特定の属性への課税論がこれほどまでに支持を集めているのか。その背景を探った。
（デジタル社会部・佐藤玲奈）

「フリーライダー論」の再燃
発端となったのは、ある子育て中の女性ユーザーによる投稿だった。

「自分たちが必死に育てた子供たちが、将来の日本を支え、独身男性の年金や医療費も負担することになる。子育てというコストを負担せず、自分のためだけに資産を形成してきた男性が『タダ乗り』するのは不公平ではないか」
この投稿には数万件の「いいね」がつき、瞬く間に拡散された。コメント欄には、家事・育児と仕事の両立に疲弊する既婚女性たちからの共感の声が溢れた。

「こっちはスーパーで数十円の節約に必死なのに、同僚の独身男性は高級時計や趣味に散財している。少しは社会に還元してほしい」 「ケア労働を女性に押し付け、資産を独り占めしてきた構造へのペナルティが必要だ」

このように、子育ての社会的コストを負担していない（と見なされる）独身男性に対し、資産の再分配を求めるロジックが展開されている。

フェミニズムと「富の偏在」
この動きに、フェミニズム的な視点からの援護射撃も加わっている。
議論を主導する一部の論客は、男女間の賃金格差や資産格差を指摘。「歴史的に男性が蓄積してきた富は、女性の無償ケア労働の搾取の上に成り立っている」とし、独身男性への課税は、単なる徴税ではなく「歴史的な清算」であるという主張も見られる。

X上では以下のような意見が飛び交う。
「男性は結婚してもしなくても、家父長制の恩恵を受けている。独身で身軽な分、より多くの資産を持つ男性への課税は公平性の観点から妥当」

専門家の見解は
ネットメディアの動向に詳しいITジャーナリストは、この現象を「分断の深まり」と分析する。
「物価高や実質賃金の低下により、子育て世帯の余裕が極限までなくなっています。その『やり場のない怒り』の矛先が、可視化されやすい『自由に見える独身男性』に向いている構造です。本来は国や企業に求めるべき分配の議論が、市民間の対立、いわば『弱者同士の叩き合い』にすり替わっている点が危惧されます」

政治的な実現性は未知数だが、SNS上で可視化された「子育て世帯 vs 独身男性」という亀裂は、今の日本社会の閉塞感を浮き彫りにしていると言えそうだ。

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