鬱って甘えなのか？

率直に言って、鬱は「甘え」ではありません。

鬱病は「病気」です

鬱病は、単なる「気の持ちよう」や「怠け」ではなく、**医学的に認められた「病気」**です。風邪や糖尿病、骨折と同じように、適切な治療が必要な状態です。

脳の機能的な変化: 鬱病の背景には、脳内の神経伝達物質（セロトニン、ノルアドレナリンなど）のバランスの異常が関わっていることが分かっています。これは、本人の意志や努力ではどうにもならない、生体的な変化です。

症状の深刻さ: 鬱病の主な症状は、強い憂鬱感や興味・喜びの喪失だけではありません。不眠や過眠、食欲の異常、疲労感、集中力の低下、そして自殺念慮など、日常生活を破壊し、生命を脅かしかねない深刻な症状が伴います。

なぜ「甘え」だと思われがちなのか

この誤解が生まれる背景には、鬱病が心の症状として現れるため、外部からはその苦しさが分かりにくく、「やる気がないだけ」「努力が足りない」と捉えられがちだからです。

可視化できない苦しさ: 骨折のように目に見える症状ではないため、周りの人がその苦痛や困難を想像しにくいのです。

精神論との混同: 日本の文化には、「精神力で乗り越えるべき」「頑張れば何とかなる」といった精神論が根強くあり、病気である鬱病にも安易に適用されてしまう傾向があります。