虫歯の治療に来た幼女（2）を麻酔で死なせた歯医者に有罪判決

福岡県春日市の歯科医院で７年前、２歳の女の子が治療後に死亡した事故で、院長が業務上過失致死の罪に問われた控訴審の判決です。福岡高裁は１審の執行猶予付きの有罪判決を支持し、院長の控訴を棄却しました。

１審の福岡地裁判決によりますと、春日市で歯科医院を経営していた高田貴被告は、７年前、歯の治療を受けた当時２歳の山口叶愛ちゃんの体調が急変したにも関わらず適切な救命措置を怠り、叶愛ちゃんを局所麻酔・リドカイン中毒による低酸素脳症で死亡させました。１審の福岡地裁は、禁錮１年６か月、執行猶予３年の有罪判決を言い渡していました。

控訴審で高田被告は１審に続いて無罪を主張しました。９日の控訴審判決で福岡高裁の松田俊哉裁判長は「両親が容態の急変をしきりに訴えており、リドカイン中毒を疑う契機が十分にあったことは明らか」などとして、１審判決を支持。高田被告の控訴を退けました。

判決後、叶愛ちゃんの両親は次のようにコメントしました。

「私たちの最愛の娘である叶愛の命が突然奪われて、この判決が出るまで６年半が過ぎました。長すぎる時間でした。
福岡高等裁判所が正当に判断を下してくれたこと、そして、これまで多くの方が叶愛のために力を尽くして下さったことには、とても感謝しています。

ただ、刑事裁判で元院長が有罪となっても、叶愛は帰ってきません。叶愛を失った悲しみは一生続きます。歯医者に行っただけなのに、幼い命が奪われる理不尽な出来事は、二度と起きて欲しくありません。この悲劇は、私たちだけで十分です。

この事件が幼児の歯科診療を見直すきっかけとなってくれれば、叶愛が生きていた証になると思います。元院長からは、今まで一度も反省の言葉を聞いたことも、謝罪の言葉を受けたこともありません。元院長には自分の責任から目を背けず、きちんと向き合って欲しいです」

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/990921?page=2