東北大学院生「発達障害です。合理的配慮ください」教授「嫌です」弁護士の夢くじかれ退学

「弁護士になることはもう考えていません」。今は会社の運営で精いっぱいだ。いずれは障がい者雇用の支援事業も手掛けたいと考えている。

弁護士になることは中学時代からの夢だった。非行に走り、弁護士の温かいサポートを受けた経験があったからだ。「人生のやり直しの機会を与えられる素晴らしい職業だと思った」

都内の私立大で学んでいた2016年、勉強の中身が頭に入らないような症状があり、注意欠陥多動性障害（ADHD）と診断された。思い返せば、子どもの頃から忘れ物が多かったり落ち着きがなかったりするなどの傾向はあった。

障がい者差別解消法は障害を理由とする不当な差別的取り扱いを禁じ、障害当事者の申し出により過重な負担にならない範囲で求めに応じる「合理的配慮」を行政や民間事業者に義務付けている。

和久井さんはその合理的配慮を求めたが、対応は遅々として進まなかった。法科大学院の教務委員長だった教授と面談できたのは約1カ月後の3月27日だった。

1対1で応じた教授は和久井さんの障害や要望について詳しく聞くことはせず、「みんなに早く司法試験に合格してもらいたい」「司法試験は『そんなの』は認めてくれない。だから、合理的配慮は一切できない」などと一方的に告げたという。

「ショックだった。ろくなヒアリングもせず、用意したかのような回答をされて、相手にされていないんだなと感じた」。和久井さんは教授の態度に心が折れ、まもなく退学を決意した。