島津義弘さん、飲酒のデメリットを語る

「先度も如申候、貴所事者御酒参候てハ不可然候、何と人々強申候共、一滴参間敷候、殊生なからの徳を持候處、
少も稽古あかり候てハ、天魔破句之業たるへく候、何事も御酒故悪事者出来物にて候間申事候」

以前にも言った通り、酒を飲んではなりません。いくら人から強く勧められても一滴も飲んではいけません。
人は生まれながら徳を持っているものですが、少しでも酒が飲めるようになれば、それは悪魔の業とも言うべきものです。
何事も酒により悪いことが起こるものなのでお前に言っておきます。

1593年(文禄2年)12月13日付島津忠恒宛島津義弘書状

「貴所事、酒ハのまれす候之条、きつかいなく候、然共取持候へハ、酒のけいこあかり候物にて候間、何たる人の申候共、酒ハすこしも呑候ましく候、
客来なとの會尺とて一度のミ候ハヽ、其侭くせ与なり候て、たれたれも被取持、一盃ハ是非にと可申人も可在之候、
心よはくさやうニ申人の催促ニまかせられ候ハヽ、忰家のめつきやくまてに候、相構々酒においては、すこしも口ニ付候ましく候」

お前は酒を飲まないので特に心配はしていません。酒を飲めばいくらでも飲めるようになるものなので、いかなる人から酒を勧められても絶対に飲んではいけません。
来客などで応対のためにと一度でも飲めば、そのまま習慣となるものです。接待を受けた時に是非一杯だけでもと勧める人もいることだろう。
心が弱くその人の言うに任せて飲酒すれば、それは御家の滅亡にもなるものです。よく心掛けて酒は少しも口にしてはなりません。