ワイの書いてる"論文"あまりおもしろくなさそう

【序】
�@思想や宗教観は国により多種多様であり、その国の国民性などを見るにおいて欠かせない要素の一つである。

�A例えば、個人の自由と権利を重んじる思想から建国されたアメリカ合衆国は、アメリカ人の持つ個人主義に深く根付いている。多様な宗教が共存しているインドでは、文化や日常の中にもその多様性が影響している。国民性が必ずしも個々人に反映されているとは限らないし、ステレオタイプ的な見方で他人を判断するのは良くないことであるが、全体的な傾向として思想などが国民性に反映されていることは明らかだろう。私たち日本人も様々な国民性を持っているが、その中の一つとして「受け身」であることがあげられるのではないだろうか。

�B丸山真男は日本の思想状況を「タコツボ型」と称し、加藤周一は日本の文化を「雑種文化」と表現した。これは、日本の思想には一貫とした芯が無く、様々な思想が閉鎖的に並立していることを意味している。夏目漱石も、文明開化の際に日本の開化は「皮相上滑りの開化」であり、外発的で受け身であるとした。日本はその長い歴史の中で様々な思想や文化を発展させてきたが、良くも悪くも外国の思想・文化の影響を強く受けたものが多い。また、日本には国教と呼べるようなものも具体的には無く、国民全体として何か同じ思想を持っているわけではない。これは日本人の「受け身」な部分を表している例であると言えるだろう。

�C実際に、世界価値観調査（図1）のデータを見ても日本人が受け身な傾向があることがわかる。左右の値（Self-Expression　Values）は自己表現を表す。日本は表のやや右に位置しており、一見すると自己表現の値が大きいように見える。しかし、この値は自己表現をする余裕がない発展途上国ほど値が小さく、逆に自己表現をできる先進国の方が値が大きくなっている傾向があるため、ヨーロッパ諸国の先進国と比べて自己表現の値が小さい日本は、個人の自己主張よりも集団調和を重んじる文化を持っていることを示している言える。また、アメリカ合衆国が日本とほぼ同じ位置にあるが、これはアメリカ合衆国の移民の数がデータに大きく影響しているからである。日本は先進国の中でも移民などの数が少ないことを考えると、やはり日本のSelf-Expression　Valuesの値は相対的に低いと言える。この様に、データから見ても日本人は受け身な特性があることがわかるだろう。

【本】
�D日本人が受け身なことと、日本の思想にはどのような関係があるのだろうか。そこで今回、日本人が受け身な理由としてどのようなものがあるのか、自然・言語・…のnつの観点で調べた。

�Eまず、日本人が「受け身」なことは自然的な風土的特徴から裏付けることができる。和辻哲郎は著書『風土』において、気候や地理的条件が国民性に与える影響を詳細に論じている。彼は日本の気候を「モンスーン型」とし、この気候条件が日本人の忍耐力や協調性、所謂「受け身」的な態度を育んだと述べた。モンスーン型の気候では、自然条件は厳しさと豊かさの両方の面を持っており、予測不可能な天候に対処するために共同的な協力が不可欠である。例えば、台風や梅雨、豪雪などの自然災害が頻発する日本では、個々の力ではこれらの困難を乗り越えることが難しく、地域社会全体で協力し合うことが重要視されてきた。これは、江戸時代の農村社会や、現代の町内会活動などにも見られるように、共同体の一員としての役割を果たすことが強調される風土が、日本人の「受け身」的な姿勢を形成する要因となっている。また、日本の四季の変化は美しい自然を生み出す一方で、農業や生活においても適応を求められる環境を提供している。四季折々の行事や祭りが地域社会で盛んに行われることも、共同体意識を高め、集団の一員としての協力が重要視される文化を育んできた。また、和辻は日本の地理的条件にも注目している。日本は山岳地帯が多く、平地が限られているため、農業や居住地の選択肢が自然と限られてくる。この地理的な制約が、限られた資源を効率的に利用し、争いを避けて協力し合う姿勢を促してきた。このような地理的条件は、個人主義よりも集団主義を優先する「受け身」的な国民性を育む要因となっている。