エルフ13「用件を聞こうか……」ダークエルフ「どちらが最強の狙撃手(スナイパー)か証明してやる!」

1 : 2021/10/06(水) 20:34:03.671 ID:PjYFBo6O0
闇夜――

ビュッ!

暗殺者A「ぐあっ!」

ビュッ!

暗殺者B「ぎゃっ!」

隊長(なんだこの敵は!? どこからともなく矢を放ってくる!)

隊長(歴戦の暗殺チームである我々が、逆に的にされるなんて……!)

2 : 2021/10/06(水) 20:35:10.040 ID:nA9eUVx90
そのキレイな顔をふっ飛ばしてやる!
3 : 2021/10/06(水) 20:37:06.690 ID:PjYFBo6O0
隊長(我々は夜間の訓練も欠かしておらず、夜目もきく……)

隊長(その我々がなぜ、全く敵を発見できないのだ!?)

ビュッ!

グサッ!

隊長「がっ……!」

ドサッ…

隊長(この敵は……まさしく、まさしくモンスターだ……!)ガクッ

ダークエルフ「…………」

4 : 2021/10/06(水) 20:41:15.441 ID:PjYFBo6O0
『漆黒の狙撃手』

【 PART1 罠を仕掛ける者達 】

弓職人「ご苦労、ダークエルフ君。よく私を暗殺者から守ってくれた」

弓職人「といっても彼らに依頼したのは、他ならぬ私自身なのだがね……」

ダークエルフ「…………」

弓職人「どうだった? いいウォーミングアップになったかね?」

ダークエルフ「歯ごたえのない連中だった。あれならカカシでも撃っていた方がマシだ」

弓職人「精鋭無比の暗殺部隊も、君からしたら赤子も同然だったか」

5 : 2021/10/06(水) 20:44:20.650 ID:PjYFBo6O0
弓職人「しかし、次の相手はそうはいかん。なにしろ次の相手は……」

ダークエルフ「エルフ13……」

弓職人「その通り、耳が尖っていることから、エルフ種であると思われるが正体は一切不明」

弓職人「世界各地を飛び回り、その弓の腕で次々に不可能といえる仕事を成功させている超一流のプロフェッショナル」

弓職人「まさに生ける伝説といっていいだろう」

弓職人「だが、その伝説はまもなく終わりを告げる。我々の手によって!」

ダークエルフ「…………」

6 : 2021/10/06(水) 20:48:20.796 ID:PjYFBo6O0
弓職人「今、私の息がかかった者が、エルフ13とコンタクトを取っている」

弓職人「依頼は成立し、まもなく奴は“暗闇の森”に出向くはずだ」

弓職人「そして……やってきたエルフ13を君が仕留める」

弓職人「漆黒の肌を持ち、私が開発した黒弓“ブラックボウ”を持つ君ならば、必ず奴を倒せる」

ダークエルフ「……気に入らんな」

ダークエルフ「いっておくが俺はこんな罠にかけるような真似をしなくても、奴を倒せる自信はある!」

弓職人「分かっているさ。君の腕なら奴とも五分五分以上に渡り合えるだろう」

7 : 2021/10/06(水) 20:50:01.854 ID:iHgzguh60
エルフ17「・・・
8 : 2021/10/06(水) 20:50:35.933 ID:PjYFBo6O0
弓職人「だが、五分五分ではダメなのだ!」

弓職人「90%……いや100%勝てる勝負を仕掛け、奴を仕留め、私と君の名を世界に轟かせる」

弓職人「これがこの戦いの目的なのだ。プライドなどポケットにでもしまっておけ!」

弓職人「君と私は一蓮托生なのだ! 文句は言わせんぞ!」

ダークエルフ「……いいだろう。あんたの弓作りの腕はたしかに一流だ」

ダークエルフ「これからもあんたの腕は必要だし、この件に関してはあんたに従おう」

弓職人「期待しているよ」

ダークエルフ「ああ……どちらが最強の狙撃手(スナイパー)か証明してやる!」

9 : 2021/10/06(水) 20:54:47.326 ID:PjYFBo6O0
【 PART2 依頼成立 】

―公園―

役人「おおっ、あなたがエルフ13……!」

役人「噂通り尖った耳をされている。やはりあなたはエルフ族、なのですかな……?」

エルフ13「俺が何者かどうかは、仕事には関係のないことだ……」

役人「こ、これは失礼しました」

エルフ13「用件を聞こうか……」

役人「南西にある“暗闇の森”をご存じですか?」

エルフ13「常に黒い霧が渦巻いてるという森だな……」

役人「おっしゃる通りです。視界がなさすぎるので、動物すらほとんどおりません」

10 : 2021/10/06(水) 20:58:12.912 ID:PjYFBo6O0
役人「ここには他にはない貴重な薬草が多数生えており、それを目当てに入る人間も多いのですが」

役人「森に住みつく“ゴースト”によって、食い殺される被害が相次いでいるのです」

エルフ13「ゴースト……怨霊系の魔物か……」

役人「はい。ですから並みの兵士を討伐に向かわせても、殉職者になるだけ……」

役人「ゴーストさえいなくなれば、あの森は極めて有益な土地になります」

役人「お願いします、エルフ13! 森に巣食う悪霊を……退治して下さい!」

エルフ13「やってみよう……」

役人「おおっ!」

エルフ13「金の支払いが済み次第、行動に移る……」

役人「ありがとうございますっ!」

11 : 2021/10/06(水) 20:59:44.430 ID:h+QhFukYr
おおっ!
12 : 2021/10/06(水) 21:01:17.527 ID:PjYFBo6O0
……

弓職人「連絡があった。エルフ13は……依頼を承諾した」

ダークエルフ「墓場に向かうわけか。自分の……墓場に」

ダークエルフ「暗闇の森……そこがお前の墓場だ。エルフ13!」ギリリッ

ビュッ!

ビシッ!

弓職人「そして……我々が裏の世界No.1となる」

13 : 2021/10/06(水) 21:04:25.258 ID:PjYFBo6O0
【 PART3 暗闇の森 】

―暗闇の森―

エルフ13「…………」

エルフ13(常に森の中は闇で覆われている……昼間でも夜と変わらない)

エルフ13(眼は頼れない、と考えるべき、だな……)

ザッザッ…

14 : 2021/10/06(水) 21:07:14.515 ID:PjYFBo6O0
モワァァァ…

ゴースト「おやおや、また人間が迷い込んできたと思ったら、まさかのエルフか」

エルフ13「…………」

ゴースト「もっとも種族なんか関係ない。この森に入った奴はどいつもこいつも俺の餌だ」

ゴースト「一度エルフを味わってみたかったァ!」グオオオッ

エルフ13「…………」サッ

ゴースト(弓!? 愚かな、俺に弓矢など通用するか!)

エルフ13「…………」ギリッ…

ヒュッ!

15 : 2021/10/06(水) 21:10:16.779 ID:PjYFBo6O0
ビシッ!

ゴースト「ぐはっ……!?」

ゴースト「な、なんで……矢が刺さ、る……」

エルフ13「…………」

ゴースト(これは……聖水!? 矢に聖水を塗り込んで、さらに強力な護符を貼って……)

ゴースト(しかも……この暗闇の中、俺を正確に射抜くなんて……)シュゥゥゥゥ…

ウオォォォォン… ウォォォォン…

エルフ13「…………」

エルフ13(仕留めても、怨念はしばらく残る、か……)

16 : 2021/10/06(水) 21:11:16.444 ID:h+QhFukYr
おわた
17 : 2021/10/06(水) 21:13:07.877 ID:PjYFBo6O0
【 PART4 死闘の幕開け 】

ダークエルフ(ゴーストを仕留めたようだな……。さすがといったところか)

ダークエルフ(だが、ここに最大の隙が生じる)

ダークエルフ(いかなるプロといえど、獲物を仕留めた直後は精神の空白ができる)

ダークエルフ(俺からお前は丸見え……終わりだ、エルフ13!)ギリッ

ビュオッ!

18 : 2021/10/06(水) 21:16:09.651 ID:PjYFBo6O0
エルフ13「!」ザウッ!

ダークエルフ(かわした!? 俺の矢を……バカな!)

ダークエルフ(俺の存在に気づいてたか! いや……そうじゃあない!)

ダークエルフ(奴は標的を倒した時こそ最も危険ということを熟知しており)

ダークエルフ(もし、“自分が狙われるとしたら今だ”と判断し、念のため回避行動を取った!)

ダークエルフ(だから、矢をかわせたのだ! なんて奴だ……エルフ13!)

19 : 2021/10/06(水) 21:19:13.319 ID:PjYFBo6O0
エルフ13(矢が放たれた方向に、敵は確認できない……)

エルフ13(かなりの腕だ……)

エルフ13(依頼そのものが仕組まれたもの、と見るべきだろう、な……)

ダークエルフ(俺が一矢で仕留められないとは……初めてのことだ)

ダークエルフ(だが、この暗闇の森で、俺を見つけることは絶対に不可能……)

ダークエルフ(こちらの圧倒的優位は動かない! 一方的に攻撃できる!)カサ…

20 : 2021/10/06(水) 21:22:26.135 ID:PjYFBo6O0
ヒュッ!

ダークエルフ「!」サッ

ダークエルフ(矢がかすめた……!)

ダークエルフ(今俺が出したわずかな音だけで、俺を正確に狙ってきたというのか!)

ダークエルフ(なるほど……エルフ13。俺はお前の力を見誤っていたようだ)

ダークエルフ(まともにぶつかっていれば……勝てなかったかもしれん)

ダークエルフ(ここからは慢心を捨て……超A級のプロに“挑む”つもりで臨んでやる!)

21 : 2021/10/06(水) 21:24:11.958 ID:PjYFBo6O0
エルフ13「…………」

ダークエルフ「…………」

エルフ13(一切動きを見せなくなった……気配も消えている……)

エルフ13(おそらくは武器も、極めて高度なカモフラージュがなされている……目視での発見は至難)

エルフ13(敵は長期戦を選んだ、か……)

22 : 2021/10/06(水) 21:26:05.110 ID:PjYFBo6O0
ダークエルフ「…………」

エルフ13「…………」

ダークエルフ(動かない……)

ダークエルフ(この森はいくら時間が経とうと闇が晴れないのは知っているはずだ……)

ダークエルフ(いいだろう、根比べといこうじゃないか!)

23 : 2021/10/06(水) 21:29:34.673 ID:PjYFBo6O0
【 PART5 戦場の外で 】

―森の外―

弓職人(長引いている……)

弓職人(最初の一矢は外され、長期戦になった、ということか……)

弓職人(だが、ダークエルフよ。君の腕と私の弓が合わされば、必ずエルフ13に勝てる!)

弓職人(あとはもう、こうして森の外で見守るのみだ……)

24 : 2021/10/06(水) 21:33:25.390 ID:PjYFBo6O0
【 PART6 最後の攻防 】

―暗闇の森―

ダークエルフ「…………」

ヒュッ!

ダークエルフ「!?」

ダークエルフ(撃ってきた! 痺れを切らしたか!)

ダークエルフ(先に仕掛けてきたのは失策だぞ! 俺からはお前がよく見える!)ギリッ…

ヒュッ!

25 : 2021/10/06(水) 21:36:24.745 ID:PjYFBo6O0
ザクッ!

エルフ13「ぐっ……!」ザザッ

ダークエルフ(手応えあり! だが、まだ仕留めてはいない! 逃がすか!)ザッ

ヒュンッ! ヒュンッ!

グサッ!

エルフ13「…………!」ザザザッ…

ダークエルフ(足を射抜いた! もう素早い動きは出来ない!)ザザザッ…

ダークエルフ(だが、最後まで油断はしない! お前だけに意識を集中する!)

26 : 2021/10/06(水) 21:36:57.888 ID:DAims0dYr
ゴクリ
27 : 2021/10/06(水) 21:39:24.830 ID:PjYFBo6O0
ダークエルフ(捉えた!)バッ

ダークエルフ(これで終わり――)ギリッ…

ウオォォォォン…

ダークエルフ「わっ!? なんだ……!?」

エルフ13「!」ピクッ

ビシュッ!

ビシッ!

ダークエルフ「なっ……!」

ドザッ…

28 : 2021/10/06(水) 21:42:36.193 ID:hD9yhknGd
小学生かな
29 : 2021/10/06(水) 21:43:01.559 ID:PjYFBo6O0
ダークエルフ(なんだ……何が起こった……。なぜ、俺は……負けた……?)

ダークエルフ(そうか……奴は、ゴーストの怨念が残るうちに、危険を承知で先に動いた……)

ダークエルフ(そして、俺のおおよその位置を掴んだ奴は、ゴーストの怨念が残る場所に、俺を誘導し……)

ダークエルフ(怨念に動揺し、声を上げてしまった俺を……撃った)

ダークエルフ(奴に意識を集中しすぎたことが……仇になってしまったんだ……)

ダークエルフ(それにしても……倒したゴーストすら……冷静に勝負に利用するなんて……)

ダークエルフ(エルフ13……奴の心は……俺よりも、黒、い……)ガクッ

ダークエルフ(…………)

エルフ13「…………」

30 : 2021/10/06(水) 21:46:19.035 ID:PjYFBo6O0
―森の外―

弓職人「!」

ザッザッザッ…

エルフ13「…………」

弓職人「エルフ……13……!」

弓職人「ここにお前が現れた、ということは……ダークエルフは……」

エルフ13「…………」

31 : 2021/10/06(水) 21:50:03.520 ID:PjYFBo6O0
弓職人「しかし、私は後悔してはいないぞ」

弓職人「お前というプロフェッショナルに挑んだことに……」

エルフ13「…………」

弓職人「世界一の称号を持つお前だが、いつの日か必ず敗れ去る時が来る……。我々のように……」

弓職人「こうしている間にも、新しい武器や兵士は誕生しているのだからな……」

弓職人「それを見ることができないのは残念ではある、がね……」ニィッ

エルフ13「…………」ギリッ…

ヒュンッ!

ビシッ!

32 : 2021/10/06(水) 21:53:23.226 ID:PjYFBo6O0
【 PART7 二つのニュース 】

―町―

町民「薬師じゃないか、どこ行くんだ?」

薬師「暗闇の森さ。どうしても欲しい薬草があるんでね」

町民「暗闇の森? あそこは魔物が出るからやめた方がいいぞ。何人も殺されてる」

薬師「それが、その魔物は何者かに討伐されたから、もう安全なんだってさ」

町民「へえ、そうなのか。いいニュースを聞いたもんだ」

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